
製造業・物流業向けサーキュラーエコノミーのすすめ
本記事では、製造業・物流業向けサーキュラーエコノミーのすすめについてご紹介します。
「サーキュラーエコノミー」という言葉自体聞いたことがないという方もいるかと思いますが、循環型経済という意味の言葉です。
大手企業の製造業・物流業にて、自社の生産活動から排出される廃棄物をゼロにすることを目標に、サーキュラーエコノミー取り組みが進められています。
工場・倉庫の建築においても、大量の資源を消費し、廃棄物も発生していました。しかし、近年、建設廃棄物をなくす手法で注目を集めているのが、「サーキュラーエコノミー」という考え方です。
今回は、サーキュラーエコノミーの大枠の考え方から、概要、企業の最新取組みなど紹介します。
目次
1.サーキュラーエコノミーとは
1.1 サーキュラーエコノミーの定義
1.2 サーキュラーエコノミーの重要性
1.3 サーキュラーエコノミーの原則
1.4 サーキュラーエコノミーと3Rの違い
2.工場・倉庫におけるサーキュラーエコノミー
2.1 工場・倉庫におけるサーキュラーエコノミーのメリット
2.2 工場・倉庫におけるサーキュラーエコノミーの事例
3.工場・倉庫のサーキュラーエコノミーを実現するためのポイント
3.1 計画段階からの取り組み
3.2 リサイクル可能な材料の使用
3.3 エネルギー効率の向上
3.4 再生材活用によるコストメリット
4. サーキュラーエコノミーのまとめ
1. サーキュラーエコノミーとは
1.1 サーキュラーエコノミーの定義

図. サーキュラーエコノミーのイメージ
(出典)A Circular Economy in the Netherlands by 2050より作成
「サーキュラーエコノミー(Circular Economy)」とは、循環型経済という意味です。廃棄物と汚染を発生させないことを前提とする取組みです。
原材料を投入して、製品を製造し、ユーザーが製品を使用し、使用済みのものはリサイクリングによって、また製品として利用します。
サーキュラーが循環という意味で、エコノミー(経済)と合わせて、循環型経済という意味になります。
従来の「リニアエコノミー」とは異なり、資源を一度使用したら終わりではなく、何度も繰り返し利用することを目指します。
1.2 サーキュラーエコノミーの重要性
2023年10月、日本政府にてサーキュラーエコノミーに関する意見交換会が開催されました。意見交換会では、サステナブルファッション、地域の資源循環、建築分野の資源循環、エシカル、価値循環、 自治体における資源循環、資源循環産業について議論されています。
詳細は、首相官邸HPサーキュラーエコノミーに関する車座対話を参照ください。
サーキュラーエコノミー(循環型経済)の考えは、古くから経済学者や哲学者によって提唱されていました。
2015年に、中国が国家戦略にてサーキュラーエコノミーを掲げたことから、世界でも注目を集めました。
日本では、日本経済団連連合会にて、「国内投資の活性化については、GX、DX等の既存分野に加えて、新たに2分野を強調したい。エンタメコンテンツ産業とサーキュラーエコノミーである。(2023年8月31日)」と発言しています。2020年50兆円から、2030年80兆円、2050年120兆円の市場規模が見込まれています。
日本でも、サーキュラーエコノミーの重要性をあげており、今後、取組みが広がっていくことが予測されます。
1.3 サーキュラーエコノミーの原則

図.サーキュラーエコノミーのイメージ
サーキュラーエコノミーには、以下の3つの原則があります。
①廃棄物と汚染を生み出さないデザイン(設計)
②製品と原料を使い続ける
③自然システムを再生する
1.4 サーキュラーエコノミーと3Rの違い

図.リニアエコノミーとリサイクリング・エコノミー
リニアは直線を意味します。リニア・エコノミーは、従来の大量生産大量消費に代表される手法で、製品を製造・販売し使い終わったら廃棄します。
一方、リサイクリング・エコノミーは、3Rと同じ意味です。日本では、循環型社会への取組みにて、3R(リデュース、リユース、リサイクル)を推進してきました。
その結果、日本は、廃棄物量の削減やリサイクル率の向上で先進取組みを実践しています。
では、「サーキュラーエコノミーと3Rの違いは?」というと、3Rは最終的には廃棄される考え方です。一方、サーキュラー・エコノミーは、原料調達段階から再利用を前提としています
これらの原則を実践することで、資源を循環させ、廃棄物を減らすことができます。
2. 工場・倉庫におけるサーキュラーエコノミー
2.1 工場・倉庫におけるサーキュラーエコノミーのメリット

図. サーキュラーエコノミーとSDGsの関係
環境負荷の低減:資源を循環させることで、資源の枯渇を防ぎ、CO₂排出量を削減することができます。
コスト削減:廃棄物処理費用や原材料調達費用を削減することができます。
ブランドイメージの向上:環境に配慮した企業として、顧客や投資家からの評価を高めることができます。
リスク管理:資源価格の変動や環境規制の強化などのリスクを低減することができます。
2.2 工場・倉庫におけるサーキュラーエコノミーの事例
近年、工場・倉庫におけるサーキュラーエコノミーの取り組みが活発化しています。以下に、その事例をご紹介します。事例1:大手家具製造販売メーカー
A社では、家具の製造過程で発生する木材廃棄物をバイオ燃料や建材に再利用しています。また、使用済みの家具を回収して修理・リサイクルし、再び販売しています。
事例2:大手スポーツメーカー
B社は、リサイクルポリエステルや再生ゴムなどのサステナブルな素材を使用したシューズを開発・販売しています。また、使用済みのシューズを回収してリサイクルし、新しいシューズの製造に活用しています。
事例3:大手物流業
C社は、段ボールやプラスチックなどの梱包材をリサイクルし、再利用しています。また、梱包材の使用量を削減するための取り組みも行っています。
これらの事例は、工場・倉庫におけるサーキュラーエコノミーが実現可能であることを示しています。
3. 工場・倉庫建築のサーキュラーエコノミーを実現するためのポイント
工場・倉庫建築のサーキュラーエコノミーを実現するためには、「最終ゴールは、バージン建材を使わない建築である」ことが求められます。
3.1 計画段階からの取り組み
工場・倉庫の設計段階から、サーキュラーエコノミーの原則を取り入れることが重要です。発注者の仕様書に、サーキュラーエコノミーに資する再生材活用の項目を記載することで、設計に組み込むことができます。具体的には、以下の点に配慮する必要があります。
・リサイクル可能な材料の使用
・エネルギー効率の高い設備の導入
・廃棄物の削減
3.2 リサイクル可能な材料の使用
工場・倉庫の建築には、鉄筋コンクリート、木材、鋼材などの材料が使用されます。これらの材料は、リサイクル可能なものが多くありますこれからの建築過程から、バージン材をいかに減らすかポイントとなります。
既存の工場・倉庫の建材を、循環資材としてどうやって新築の材料として乗せていくかなども検討を進めていく必要があります。
リサイクル可能な材料を使用することで、資源を循環させることができます。
3.3 エネルギー効率の向上
工場・倉庫は、多くのエネルギーを消費します。エネルギー効率の高い設備を導入することで、エネルギー消費量を削減することができます。具体的には、以下の設備が有効です。太陽光発電パネル
LED照明
省エネエアコン
3.4 再生材活用によるコストメリット
廃棄物の削減は、サーキュラーエコノミーを実現するための重要な課題です。ただし、工場・倉庫建築において、現状の再生材の使用率は微々たるもです。
また、再生材の利用率が高まる場合、今より建築費が高くなるとサーキュラーエコノミー型建築のゴールは実現できません。
工場・倉庫建築の再生材利用率を高め、同時にコストパフォーマンスを高めていくことが必要です。
4. サーキュラーエコノミーのまとめ
サーキュラーエコノミーは、廃棄物と汚染を発生させないことを前提とした経済システムです。以下、本記事のまとめです。<サーキュラーエコノミーのまとめ>
☑ サーキュラーエコノミーとは、循環型経済の意味です。廃棄物と汚染を発生させないことを前提とする取組みです。
☑ サーキュラーエコノミー関連では、2050年120兆円の市場規模です。
日経団連でも、国内投資の活性化の注目市場にあげられています。
☑ 国内外の大企業がサーキュラーエコノミーの取り組みを積極的に進めています。
☑ 工場・倉庫建築の再生材利用率を高め、同時にコストパフォーマンスを高めていくことが必要です。
☑ サーキュラーエコノミーのパートナー会員は、今後、目標数値を1年以内に設定します。目標数値達成に資する自社独自の取り組みが新ビジネス創出の鍵になります。
サーキュラーエコノミーは、単なる環境対策ではなく、新たなビジネスチャンスにもつながります。
製造業や物流業は、サーキュラーエコノミーの理念を取り入れることで、競争力を強化し、持続的な成長を実現することができます。
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