工場・倉庫の失敗しない新規出店の方法
本記事では、工場・倉庫の失敗しない新規出店の方法をご紹介します。
製造業や物流業では、新規の工場・倉庫・事務所の出店はビジネスの成功にとって重要な一手となります。一方、新規出店には、慎重な計画と準備が必要です。
今回は、新規出店に成功するためのポイントと具体的な手順について解説します。
目次
工場・倉庫の新規出店場所の選定
図.工場・倉庫の出店までの主な流れ
工場・倉庫・事務所の新規出店では、土地と建物・設備に関して価格・工期・仕様などを決めていかなければいけません。
建設会社以外にも、自治体、銀行、不動産、設計会社、設備会社など、色々なパートナー企業を選定し、新規出店に向けた調整を進めていく必要があります。
新規出店する物件が決まっていない場合は、まず、土地・空き物件探しが必要になります。
1)地理的な立地条件の検討
新規の工場・倉庫・事務所の出店において、地理的な立地条件は非常に重要です。
適切な立地を選ぶことで、製造業や物流業の業務効率を高め、他社との競争力を高めることができます。地理的な立地条件では、以下を考慮することが望ましいです。
①拠点からの距離
製造業の場合は、原材料の供給地や組み立て工場、納品先に近い場所がよいです。物流業の場合は、幹線道路沿いや、IC近くなど主要な交通結節点、物流拠点に近い場所が好まれます。
②交通インフラストラクチャー
高速道路、鉄道、港湾などの交通インフラストラクチャーの充実度も地理的な立地条件の一つです。スムーズな物流の実現に不可欠です。
③BCP対策
自然災害やサイバーセキュリティなど災害が発生した場合のリスクを考慮する必要があります。過去の災害データやハザードマップを確認し、災害履歴の少ない立地を選びます。
また、重要なデータやシステムのバックアップと復旧計画を策定します。災害や障害が発生した場合でも、迅速に事業活動を再開できるような体制を整えることが求められます。
2)詳細な土地・物件探し
工場・倉庫・事務所の近隣には、必要な施設や交通アクセスがあることを確認します。土地や物件の価格を市場の相場価格と比較し、適正な範囲内で収めます。
また、将来の事業成長に備えて、工場・倉庫・事務所の拡張や移転の冗長性を考慮しておきます。建物の広さや周辺環境など、将来にわたる事業活動を見据えて土地・物件を選びましょう。
3)交通アクセス性の検討
交通アクセスの便利さは、社員や取引先とのコミュニケーションをスムーズにし、業務効率を高めます。駅やバス停からのアクセス性を確認しましょう。通勤や訪問時に、便利な立地が望ましいです。
また、自家用車を利用する場合を考慮して、駐車施設の充実度や料金の有無を確認しましょう。
4)労働市場の調査と人材確保
工場・倉庫・事務所を新規出店する場合、既存社員の登用や新規採用が必要です。学校や大学の近くや、工業団地やビジネスパークの周辺など、人が集まりやすい地域を選びます。
出店希望エリアの労働市場や求人数を調査しておくとよいです。競争力のある賃金や労働条件を提示できることも、優秀な人材を確保するポイントになります。
工場・倉庫の投資計画と予算の把握
図. 工場・倉庫・事務所の3つの出店形態
1)出店コストの予測と予算の調整
新規の工場・倉庫・事務所の出店には、様々なコストがかかります。コストを予算の範囲内に収めることは、本業のビジネス成功には必要不可欠です。
工場・倉庫・事務所の出店形態では、①テナント入居での賃貸契約、②土地を借りて自社建物を建てる借地契約、③土地・建物を自社で購入する売買契約などの方法があります。①、②、③の順に初期投資の負担は軽くなります。
これらの費用を事前に予測し、予算に反映させます。また、施設の大きさや立地によっては、敷地内に保安施設や設備を整える必要がある場合があります。
出店に伴い必要な設備機器やコンピューターシステム、ネットワーク設備なども見積を依頼しコストを確認しましょう。
2)資金調達方法と支援策の活用
工場・倉庫・事務所の開設には資金が必要ですので、資金調達方法についても考慮します。出店に必要な資金の一部は、自己資金で賄います。
金融機関からの融資やビジネスローンを活用する場合は、適切な返済計画を立て、財務状況に応じた利用を検討しましょう。
また、国や自治体などの補助金・助成金が出店条件によって活用できる場合があります。自治体窓口に相談し、適用条件や申請手続きについて確認しましょう。
3)収益見込みの試算
工場・倉庫・事務所の出店には、収益見込みも欠かせません。システムや設備の購入にかかる費用や、効率化によるコスト削減効果を試算します。
また、出店による収益見込みや予測される利益を見積もり、収支計画を立てましょう。
工場・倉庫の法的手続きの確認
1)申請書類と関連書類の準備
工場・倉庫・事務所の出店には、様々な申請書類と関連書類の準備が必要です。
必要な書類や手続きについては、自治体窓口に確認します。自治体の窓口が多岐にわたり、手間がかかるため、建設会社に申請手続きを確認してもらいましょう。
2)許認可の確認
新しい建物を建てる場合、建築許可が必要です。エリアの自治体で申請手続きを行います。特定の業種では、営業許可が必要な場合があります。関連する規制や条件を確認し手続きを行いましょう。
土地利用の制限の確認も必要です。都市計画や環境保護などの法的要件に基づく制限を確認し、順守する必要があります。
3)法定要件への準拠
従業員の雇用に関する法律や、労働条件、賃金基準などを満たすために、労働法に従って適切な手続きを行います。また、環境保護や労働安全、廃棄物処理、労働災害予防など、関連する規制を順守し、事業活動を適法に行いましょう。
加えて、特定の業種によっては、製造や物流業に関連する規制やライセンスがあります。関連する業界団体や専門機関からの指示に従い、規制遵守を図りましょう。
人材の確保と組織づくり
1)必要人材の把握
工場・倉庫・事務所の新規出店の成功には、適切な人材の確保が欠かせません。新しい事務所の運営に必要な役割と人数を試算しましょう。
既存の従業員の役割(管理職、営業、人事、経理など)や、能力(スキル、知識、経験など)を把握し、不足する人材は採用しなければいけません。将来的な業務展開を考慮して、人材配置を検討しましょう。
2)労働市場の調査と採用戦略づくり
新しい事務所の人材確保には、労働市場の調査と採用戦略が必要です。労働市場の調査では、競合他社の募集要項を調査します。募集要項に対してどの程度採用できているかなど把握しましょう。
また、労働市場の調査結果をもとに、採用戦略を立てます。自社での採用活動や求人広告、人材紹介会社の利用など、複数のチャネルを活用して採用活動を行います。
3)目標・目的の共有とチームビルディング
新しい事務所では、経営者から新組織の目標や目的を共有し、従業員全員が組織の新たな取組みに向けて一丸となれる環境を整えます。
良好な社内コミュニケーションやチームワークも欠かせません。従業員同士で交流できる機会を積極的に増やして、信頼・協力関係を築きましょう。
また、従業員の成長とモチベーションを高めるプログラムや制度を導入します。金銭報酬(給与、役職など)だけでなく、感情報酬(会社の理念・方針、人間関係、職場環境、活動・成長など)を意識して、従業員満足度を高め、従業員のやる気とパフォーマンスを向上させましょう。
インフラストラクチャーと設備
図.食品加工工場のレイアウトイメージ
1)レイアウト設計
工場・倉庫・事務所の新規出店の成功には、適切な建物・設備とソフトウェアが必要です。
工場・倉庫・事務所のレイアウト設計では、各部屋の必要面積や動線、配置を計画します。例えば、食品加工工場の場合、各部屋の人と物の流れを想定し、清潔区域、衛生管理区域、準汚染区域、汚染区域にエリアを設定します。エリアの境には、エアシャワーやバスルームを設置し、衛生度を保つ配慮が必要となります。
事務所では、ワークスペース、会議室、共用スペースなど、作業の効率性や快適さを考えながら、設備や什器、家具、備品の配置を計画します。また、ネットワークケーブル、Wi-Fiアクセスポイント、電話回線などのITインフラストラクチャーも適切に設計しましょう。セキュリティと信頼性を考慮した設備を整えます。
2)デザイン性への配慮
工場・倉庫・事務所のデザイン性にも配慮することで、快適な作業環境を構築し、従業員のモチベーション向上につなげることができます。快適な照明や温度調節など、従業員が快適に作業できる環境を整えます。作業の効率性を考慮したレイアウトやデザインも重要です。
また、事務所内のデザインにブランドカラーやロゴを取り入れるなど、企業のアイデンティティを反映し、お客様への企業ブランディングにも役立ちます。
3)セキュリティ・保守
データセキュリティでは、データの保護やバックアップシステムの導入など、データセキュリティに関する対策を講じます。重要なデータや機密情報を保護し、セキュリティリスクを最小限に抑えましょう。
また、アクセス制御として、事務所の出入り口や特定のエリアへのアクセスを制限するセキュリティ対策を導入しましょう。カードキーシステムや監視カメラなど、セキュリティレベルに合わせた対策が必要です。
保守とメンテナンスでは、ハードウェアやソフトウェアの保守とメンテナンスを見落とさずに行います。定期的なアップデートやセキュリティパッチの適用、機器の点検と保守を行うことが重要です。
工場・倉庫の新規出店をお考えの方へ
製造業や物流業における工場・倉庫・事務所の新規出店は、企業成長をかけた重要な経営戦略です。
今回は、新規出店に成功するためのポイントと具体的な手順について解説しました。ビジネスの将来を見据え、慎重な計画立案と準備を行い、成功に向けて着実に進めていきましょう。
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伊藤忠丸紅住商テクノスチール株式会社
設立 | 1963年5月31日 |
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資本金 | 30億円 |
従業員 | 400名(派遣社員、嘱託、委託社員等を含む)(2020年4月現在) |
株主 | 伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社 66.7%、住友商事グループ 33.3% |
取扱商品 | 鉄鋼製品、建築用・土木用・道路舗装用・設備機器用の資機材類の販売、各種工事請負等 |
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