工場・倉庫のリスクマネジメント対策
本記事では、工場・倉庫の「リスクマネジメント」についてご紹介します。
「リスクマネジメント」とは、事前に起こりえる事態を予測することでリスクを回避・低減などすることです。
例えば、自治体の災害ハザードマップ(地震、洪水、津波、火山、土砂崩れなど)を確認し、危険地域は未然に工場・倉庫の対策工事を行うなどがリスクマネジメントの対策の1つになります。
リスクという言葉は「危険」「危機」の意味になりますが、ビジネスにおいては、「今後、企業に起こる可能性のある出来事」という意味合いになります。
工場・倉庫では、起こり得るリスクに対して、予防策や対策を立案していくことが求められています。
目次
工場・倉庫のリスクマネジメントに関する考え方
今回、お伝えしたいことですが、「企業人として大切な考え方は、ビジネスは、会社・社員の信用を何よりも大切にしている」ということです。
企業には、お客様があり、社内には、経営幹部、社員、社外では協力会社がいます。
また、株主や投資家、金融機関、広告主など、様々な関係者との信頼関係で会社のビジネスが成り立っています。
そこで、コンプライアンス違反が発生すると、関係者の信頼関係が崩れ、企業の業績悪化、法的制裁、ひいては倒産に追いやられる危険もあります。
周りの期待値を大きく超えるような行いができる方には、信頼・信用が積み重なり、多くのファンがついていきます。
一方で、「会社・社員を信用している」という期待とのギャップ(乖離)が生まれた時にはクレームが発生します。
信用とクレームの関係
図.信用とクレームの関係
信用とクレームの関係を示します。
赤丸のスタートライン時は、自社あるいは人、サービス・商品に関係者から期待をもってもらっています。
そこで、企業のブランド力やこれまでの実績で信じて使ってもらえる状態になります。
さらに信用を積み重ね、期待を超える対応や結果を見せると、関係者は頼ってくれる、ひいては応援してくれるような関係が築けます。
一方、期待とのギャップ(乖離)が生まれると、クレームが発生します。
ポイントは、クレームが発生しているときは、「改善してほしい」という期待を込めてもらっている状態です。
その対応を失敗すると、顧客や関係者は離れていきます。関係者も問題は認識していますが、そのうちに誰も教えてくれない関係性になっていきます。
結果、社会的信用はなくなり、誰も相手にしてくれない状態に陥ってしまいます。
工場・倉庫のクレーム処理のポイント
クレーム発生時には、法律や契約、就業規則などのルールへの対応はもちろん、「社会の⽬」を意識した対応も求められます。
「社会の目」とは、クレームの事実を知った関係者や、一般の人々や会社を指します。
「社会の目」から見た評価は、個人や企業の信頼に大きな影響を及ぼします。社会の信用を失わないために、企業では真摯・高潔な姿勢や対応を行う必要があります。
クレーム処理では5原則を意識していただきたいと思います。
<クレーム処理5原則>
①スピード対応
何よりもスピード対応が大前提です。
②事実確認
担当者の1次情報で事実を整理・把握します。
③相手の主張を聴くこと
まずは相手の主張を徹底的に聴くことが大切です。聴くことにより怒りは収まり冷静になります。
④責任者の対応
相手は上司の対応を望んでいます。責任者が対応しましょう。
⑤主張ポイントの明確化
相手にも非がある場合、ここだけは引かないというポイントは明確に持っておきましょう。
ここまで、信用とクレーム、リスクマネジメントについてご紹介しました。
工場・倉庫のクレームを簡単に減らす方法
クレームを減らすための簡単な方法をご紹介します。
クレームを半分に減らしたければ 、上司がメンバーの基本的な躾(しつけ)を徹底することです。
例えば、約束を守る、挨拶を徹底する、お礼をする、報連相をするなど、基本的なビジネスマナーだけでも、クレームの削減効果が期待できます。
教えてくれる人は相手に対して期待してくれている状態とお伝えしましたが、上司の助言は大変ありがたいものです。
相手の立場になって考え行動すると、期待とのギャップ(乖離)が解消され満足度も高まっていきます。
関係者との良いコミュニケーション、関係性づくりから、グッドサイクルを作り出していきましょう。
工場・倉庫のリスクマネジメントの分類
リスクマネジメントには、大きく以下の2つがありますので、①リスクの未然防止と②リスク発生時の対応に分けて考えてきましょう。
①リスクが現実化しないよう未然防止対応をすること
・リスクの種類や法律のポイントを理解しましょう
・行ってはいけない行為やルールを知って守りましょう
②リスクが現実化した(起こしてしまった)時の対応
・すぐに報告しましょう(スピード)
・正直に報告しましょう(隠すとかえって事態は悪化します)
・起こった要因を分析し、再発防止策を実施しましょう
(二度同じ失敗を起こさないように仕組化しましょう)
工場・倉庫のリスク考慮上の4区分
図.リスク考慮上の4区分イメージ
図は、リスクを4つの区分に分類して整理しています。
リスクは、発生頻度(横軸)と被害の大きさ(縦軸)4つに区分できます。
(例1)工場・倉庫の盗難被害
発生頻度は低く特にリスク被害も少ないと判断できる場合は、リスクを保有するA象限に区分します。
(例2)地震・噴火・津波のような災害
頻度は低いですが甚大な被害リスクが想定されるため、保険に加入するなどしてリスクを移転・転嫁するB象限とします。
(例3)日々の業務で起こる配送の遅延のなど
発生頻度が高くなります。工程管理の徹底やシステム導入などにより、発生頻度の低いA象限にもっていく対策を行います。(分類は、リスクの低減・予防C象限)
(例4)融資の停止
発生頻度を下げるか、発生被害を小さくするかしてBやC象限にもっていく対策を行います。リスク次第ではプロジェクト自体の見直しも必要です。(分類は、リスクの回避D象限)
工場・倉庫における主なリスク
では、工場・倉庫のリスクの種類や対応方法についてもご紹介します。
1)火災リスク
工場や倉庫は可燃物質や火花の発生源が多く、火災の発生リスクが高いです。燃料や化学物質の保管場所、電気設備、加工機械などが火災の原因となる可能性があります。
<主な対策>
- 定期的な点検と保守が必要な電気設備や配線の管理を行います。
- 可燃物質の保管場所を適切に管理し、適切な温度制御や通風を確保します。
- 火災報知器、消火器、自動散水装置などの適切な消防設備を設置します。
- 従業員には適切な消火訓練を行います。
2)労働安全リスク
作業員や従業員の安全を守ることが重要です。重機や移動車両の操作、高所作業、化学物質の取り扱いなどは、事故や被害につながる可能性があります。
<主な対策>
- 作業員には適切な安全教育とトレーニングを提供します。
- 作業場や通路の整備と安全な移動経路の確保を行います。
- 危険な作業場や機械に対して適切な安全ガードや囲いを設置します。
3)環境への影響
工場や倉庫の活動は、環境に対する影響も大きいです。廃棄物処理や有害物質の取り扱いなど、環境汚染や生態系への悪影響へのリスクがあります。
<主な対策>
- 環境規制や法令を遵守し、廃棄物の適切な処理方法を採用します。
- 有害物質の取り扱いには適切な設備と手順を確立し、漏洩や流出を防ぎます。
- エネルギー効率や廃棄物削減の取り組みを促進します。
4)盗難・侵入リスク
貴重な商品や設備が保管されているため、工場や倉庫は盗難や侵入のターゲットとなります。不正アクセスや物品の盗難、窃盗などに備える必要があります。
<主な対策>
- アクセス制御システムを導入し、不正アクセスを防ぎます。
- 防犯カメラの設置や照明の適切な配置を行い、施設の監視を強化します。
- 重要な設備や商品を保護するためのセキュリティ対策を実施します。
5)自然災害リスク
地震、洪水、台風などの自然災害による損害のリスクがあります。特に地域によっては、特定の自然災害に対して備える必要があります。
<主な対策>
- 地震や洪水などのリスクに対して、構造物や機械の耐震性を強化します。
- 自然災害の警報システムを設置し、適切な避難手順や対応計画を策定します。
6)サプライチェーンの停止リスク
サプライチェーンの停止は、工場や倉庫の機能停止や商品の遅延を引き起こします。原材料や製品の供給、物流の中断などに備える必要があります。
<主な対策>
- サプライチェーン上のリスクを評価し、代替のサプライヤーや物流ルートを確保します。
- バックアップのシステムや保険の活用などにより、リスクに備えます。
リスクの事例を挙げると、まだまだありますが、代表的なものを掲載しています。
工場・倉庫のリスクマネジメントと経営計画の関係
図.リスクマネジメントと経営計画の関係イメージ
上図は、リスクマネジメントと経営計画の関係イメージです。
企業では、企業活動で、社会にどのように貢献していくべきかを考える社会責任(CSR)があります。また、社会課題の解決と経済価値を実現するための共通価値の創造(CSR)があります。
さらに、世界共通認識のある社会的課題を解決するSDGs目標の達成が求められています。
このような構図の根底にあるものがリスクマネジメントになります。リスクマネジメントは、企業経営の基盤です。企業人としてしっかり順守しましょう。
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設立 | 1963年5月31日 |
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