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工場・倉庫の2023年以降の資材価格高騰の現状と今後の見通し

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工場・倉庫の2023年以降の資材価格高騰の現状と今後の見通し

工場・倉庫の2023年以降の資材価格高騰の現状と今後の見通し

本記事では、工場・倉庫の2023年以降の資材価格の高騰の現状と今後の見通しについてご紹介します。

資材価格の高騰は、依然として高止まりが続いています。

物価高を引き起こす諸問題が1つ1つ解決につながることで、徐々に資材価格も落ち着きを取り戻すと見られています。

今回は、2023年以降の資材価格高騰の動向を踏まえ、工場・倉庫業で講ずるべき対策(①工場・倉庫のDX化、②工場・倉庫の太陽光発電導入)をご紹介します。


目次

1 2022年の振り返り~資材価格高騰が顕著となった1年~

物価高高騰がもたらす工場・倉庫業への影響

工場・倉庫業の「物価高倒産」

4 2023年以降の資材価格の動向

4-1原油価格の推移

4-2鉄鉱石価格の推移

4-3電気料金の推移

4-4ドル円相場の推移

4-5 2023年以降の資材価格動向のまとめ

6 2023年以降の資材価格高騰対策(工場・倉庫のDX化)

6-1工場・倉庫のDX化とは?

6-2 AI活用による見積もり業務の標準化

6-3組立工程のロボット活用

7 2023年以降の資材価格高騰対策(工場・倉庫の太陽光発電導入)

7-1工場・倉庫の太陽光発電導入とは?

7-2自家消費型太陽光と蓄電池の導入

8 2023年以降の資材価格高騰対策のまとめ

工場・倉庫のDX化や自家発電型太陽光発電を検討中の方へ


2022
年の振り返り~資材価格高騰が顕著となった1年~

2022年は、物価高を引き起こす諸問題が多発した1年でした。

ロシアのウクライナ侵攻や、新型コロナウィルスの流行、日米の金融政策の違いなどにより、生活必需品を中心に物価高の高騰が問題となりました。

工場・倉庫業では、原材料価格の高騰をはじめ、原材料の輸入価格の高騰がありました。

業界各社で値上げの発表があり、川上と川下企業間で価格交渉も相次ぎました。

また、原材料の調達難から納期の遅延も発生し、仕様の変更や工期の見直しも余儀なくされました。

人材の不足や人件費の高騰は続き、メーカーが値上げに踏み切る動きも多発した1年でした。

 
物価高高騰がもたらす工場・倉庫業への影響

①物価高高騰がもたらす工場・倉庫業への影響.png
図.物価高高騰がもたらす工場・倉庫業への影響

物価高の高騰による工場・倉庫業への影響についても整理します。

物価高高騰というと、マイナスなイメージばかりが目にいきますが、価格転嫁が可能なビジネスについては金額もその分増えますので、企業としての売上は増えることになります。

既存の業種業態の延長で、価格転嫁が可能なビジネスに新規チャレンジするなどは、資材価格高騰の有効な対策になります。

一方、問題となっているのは、価格転嫁ができない下請け企業などです。

重層下請構造の川下にある下請けの工場・倉庫業の会社は、収益圧迫により経営がまわらなくなるという問題が発生しています。

経営が回らなくなった結果、「物価高倒産」が増加しています。

 
工場・倉庫業の「物価高倒産」 

②業種別の物価高倒産割合(2023年1~5月).png図.業種別の物価高倒産割合(2023年1~5月)

物価高倒産は、業種別では、①建設業、②運輸・通信業、③製造業となっています。また、業種詳細別では、①運輸業、②工事(元請け)、③飲食料品製造が上位3位です。

運送・物流業界は、燃料費高騰、人件費上昇に伴う荷主への価格転嫁が喫緊の課題となっています。

荷主への価格転嫁の交渉ができない企業は、経営状況が行き詰まり、物価高倒産に追いやられている状況です。

また、製造コストが値上がりしている飲食料品製造も倒産件数が増えています。原材料価格の高止まりの影響は、今後しばらくは続いていく見込みです。


2023
年以降の資材価格の動向

では、2023年以降の資材価格の動向について見ていきます。

 

1)原油価格の推移

③原油価格の推移(単位:USドルバレル).png

図. 原油価格の推移(単位:USドル/バレル)

原油価格の推移データ見ると、コロナ禍に価格高騰を続けていた原油価格は、2022年6月をピークに減少に転じ、コロナ前の水準に戻りつつあります。

原油価格が高騰する要因は、①コロナショックから経済が持ち直し、原油需要が増加したこと、②ウクライナ侵攻の経済制裁にともない、ロシア産原油の供給不安が高まったこと、③脱炭素の動きから、化石燃料への投資が低迷していたことなどが挙げられます。


2)鉄鉱石価格の推移


③鉄鉱石価格の推移(単位:USドルバレル).png
図. 鉄鉱石価格の推移(単位:USドル/バレル)

次に、鉄鉱石の価格推移についてです。

鉄鉱石は、製造業が鉄を作るための主要な原料です。鉄鉱石だけでは作れませんが、原材料の高騰状況を判断する有効な指標になります。

鉄鉱石は、2021年12月をピークに大幅減少に転じました。価格の上昇・下落を繰り返し、コロナ前の水準に戻りつつあります。

鋼材価格の高騰の理由となっていた原材料の鉄鉱石や原油価格は下落に転じていますので、鋼材価格も今後、下がってくることが見込まれます。

2023年6月時点では、鋼材価格は上昇を続けていますが、先行きの気配では「価格は横ばい」の品種が大半となっています。

歴史的高値圏にある鋼材価格は、全般的には上昇基調が一服したと見られます。


3)電気料金の推移

 
④電力料金の推移.png図. 電力料金の推移

 (出典)新電力ネットHP電気料金単価の推移(https://pps-net.org/unit

電気料金ですが、電力市況の悪化や電力需給逼迫、2022年3月以降のウクライナ侵攻の影響など、さまざまな理由で電力調達価格が悪化しています。

2022年比では、①特別高圧、②高圧、③電灯、④電力の全てが上昇しており、多くの電力を使用する法人の場合、経営を圧迫する要因となっています。


4)ドル円相場の推移


⑤ドル円相場の推移.png図.ドル円相場の推移

2023年6月時点までのドル円相場の推移をグラフで整理しています。

下方向(赤矢印)に動くと円高、上方向(青矢印)に動くと円安の動きになります。

当時は、1ドル263円の円安時代もあったドル円相場ですが、戦後最高値では東日本大震災後に円買いが強まり1ドル76円を記録しています。

コロナ不況を景気に、一時150円台の円安へ迫りました。

日銀の円買いの為替介入等により一時的に円高となりましたが、再び1ドル140円台で推移しています。


5)2023年以降の資材価格動向のまとめ

2023年以降の資材高騰の動向を以下にまとめます。

 <2023年以降の資材高騰の動向>

☑ 運輸業の物価高倒産が増え続けています。燃料費高騰、人件費上昇に伴う荷主への価格転嫁が喫緊の課題となっています。

☑ 原油・鉄鉱石の価格は、コロナ禍のピーク時から減少に転じています。

   鋼材価格の高騰は、先行きは上昇基調が収まったと見られます。

☑ 円安の影響は、以前続いています。輸入依存の資材は、価格の転嫁が続いている状況です。

☑ 電気料金は値上がりが続いています。 ①特別高圧、②高圧にて多くの電力を使用する法人の場合、経営を圧迫する要因となっています。

では、2023年以降の資材高騰の動向を踏まえて、工場・倉庫業で講ずるべき対策について、①工場・倉庫のDX化、②工場・倉庫の太陽光発電導入に絞ってご紹介します。

 
2023年以降の資材価格高騰対策(工場・倉庫のDX化)

1)工場・倉庫のDX化とは?

問題は、「このように原材料や、円相場、エネルギーコストの乱高下を前提とした場合に、どのような経営を目指すべきか?」です。

一言で言えば、市場動向の影響を極力低減できるビジネスモデルであることです。

まず、単純にモノを仕入れて売るというビジネスモデルでは難しいと考えられます。原材料等の乱高下の影響が直撃するからです。

要は、自ら付加価値を作れるビジネスモデルでしか、このような乱高下の時代には安定しなくなります。

付加価値を作れるとは、やはり熟練したヒトの手が介在して差別化できるノウハウ・情報・スキルが必須ということです。

しかし、今時、そのような熟練者を採用する・育成する方が難しく、その技術継承も困難です。

そこで、「工場・倉庫のDX化」が問題解決の鍵となります。熟練技術・熟練ノウハウ・熟練スキルのDX化です。

誰でもできるような、誰でも知っているような技術・ノウハウ・スキルではなく、その企業独自の技術・ノウハウ・スキルをDX化していくことで、永続性と安定性が作れるようになります。

原材料やエネルギーコストの乱高下時代であるからこそDX化とご理解いただければと思います。


2)AI活用による見積もり業務の標準化

製造業A社では、一部のベテラン営業担当者と社長自らが見積もり業務に従事していました。

見積もり算出の参考として、使用する過去の見積もりデータを探し出す作業に多くの時間を取られていました。

業務自体の属人性の高さゆえに、見積もり業務の標準化・脱属人化・技術継承が進まずに経営の行き詰まり感じていました。

そこで、A社では、見積もり業務の改革に乗り出し、AIを活用し過去の類似案件を検索できるようにしました。

その結果、「従来かかっていた時間よりも短い時間で」かつ「より精度高く」見積もり作成が可能となりました。

また、一部のベテランや社長に依存していた見積もり業務を、知識・経験の浅い社員でも問題なく実践できるようになりました。

A社では、AI活用によって、属人性の高い見積もり業務の標準化と、脱属人化・技術継承に成功したのです。


3)組立工程のロボット活用

C社では、金属板・ブラケット等、材質も形状も異なる部品をパネルに接着していく工程に悩んでいました。

社員が1つ1つの部品を接着していく作業は非効率で、工程の自動化が求められていました。

そこで、C社では、組立工程のロボット活用を決めました。

接着材の自動塗工や、部品のピック&プレース(吸引・クランプ)と押し付けを可能にした独自のロボットハンドの導入です。

座標値にてロボットを制御するシステムを構築し、ロボットの知識が無くても扱える仕様とし、多品種対応の為の「パレット式部品供給方式」を採用しました。

結果、経験の浅い社員でも、ロボットハンドを操作して部品の組立工程をまわせる体制ができました。


2023
年以降の資材価格高騰対策(工場・倉庫の太陽光発電導入)

1)工場・倉庫の太陽光発電導入とは?

次に、工場・倉庫の経営を圧迫するエネルギーコストを見直していく必要はあります。

電気料金の値上げが続くなか、工場・倉庫の太陽光発電導入は、今、まさにベストなタイミングと言えます。

太陽光発電事業では、2012年にFIT制度がスタートして以降、土地付き太陽光発電の建設・販売において、収益を拡大するEPC※が増加しました。

※Engineering(設計)、Procurement(調達)、Construction(建設)の頭文字を取った言葉

2020年より、低圧の全量売電制度が使えなくなり、これまでと同様のビジネスモデルの確立が難しくなりました。

FIT制度の終焉と入れ替わるように、世界・国では脱炭素社会の実現に向けて急速に舵を切り始めています。

FITを用いた投資型の太陽光ビジネスから、自家消費型太陽光の販売モデルに今まさに市場がスイッチし始めようとしています。


2)自家消費型太陽光と蓄電池の導入

製造業D社では、自社の電気代の削減やCO₂削減を目的として自家消費型の太陽光発電設備と蓄電池の導入を決めました。

工場屋根を施工しやすい折板屋根とし、屋根全体にパネルを施工して発電容量を確保しました。

また、BCP対策として自立型パワコン+蓄電池を導入し、昼間の必要最小限の電源を確保しています。

その結果、自社及びサプライチェーン全体のCO₂の削減を実現しました。

複数のSDGs目標達成に貢献するため、PPA事業者との契約で電気代の一部を地元教育機関に毎年寄付することも行っています。

自家消費発電のポイントは以下の通りです。

<自家消費発電のポイント>

①災害時のエネルギー供給などのBCP対策になります。

②ピークカット&デマンド削減&省エネにつながります。

③節税対策になります。

④補助金活用でおトクに導入できます。

⑤投資回収が早いです。

 
2023年以降の資材価格高騰対策のまとめ

工場・倉庫の2023年以降の資材価格高騰対策のまとめです。

✔工場・倉庫のDX化が問題解決の鍵になります。人手のかかるボトルネックをみつけ、AIやロボットの技術で生産性向上を図っていきましょう。

✔自家消費型太陽光発電で、電気料金を削減するとともに自社のCO₂削減を図ります。脱炭素・GX経営にもつながり、企業価値向上の相乗効果も期待できます。

✔中長期では、原材料や、円相場、エネルギーコストの乱高下など市場の影響を受けにくいビジネスモデルへ移行していくことが求められます。短期的には、資材価格高騰や円安などがプラスに働くビジネスのチャレンジも考えられます。

✔国・自治体の補助金・助成金も募集されています。コロナ不況にて売上や付加価値額が減少している企業は、補助金・助成金を活用し、事業再構築を図る手法もおすすめです。

コロナ不況では、企業の勝ち負けが大きく分かれました。企業の業績を伸ばしている企業は、コロナ不況でもエリアの拡大、新商品開発など、地道に次のチャレンジの種まきを続けてきた企業です。

ぜひ、貴社でも、DXや脱炭素・GX化など、身近なところから早期の資材価格高騰対策を進めていきましょう。

 
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伊藤忠丸紅住商テクノスチール株式会社

設立 1963年5月31日
資本金 30億円
従業員 400名(派遣社員、嘱託、委託社員等を含む)(2020年4月現在)
株主 伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社 66.7%、住友商事グループ 33.3%
取扱商品 鉄鋼製品、建築用・土木用・道路舗装用・設備機器用の資機材類の販売、各種工事請負等
取引銀行 みずほ銀行 日本橋支店
三井住友銀行 日本橋支店
三井住友信託銀行 本店営業部
建設業許可 国土交通大臣許可(特-3)第10910号
建築工事業
国土交通大臣許可(般-3)第10910号
大工工事業、とび・土工工事業、石工事業、屋根工事業、タイル・れんが、ブロック工事業、
鋼構造物工事業、鉄筋工事業、板金工事業、ガラス工事業、塗装工事業、内装仕上工事業、建具工事業
宅地建物取引業許可 東京都知事許可(3)第87072号
一級建築士事務所登録 東京都知事登録 第55860号
ISO14001/2015 取得日2001年10月10日 適時更新継続中
(社)日本プロジェクト産業協議会 法人会員

 

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