
人が集まり辞めない工場・倉庫経営
今回は、工場・倉庫の組織活性化をテーマにご紹介します。
「組織」というと、本記事をご覧の皆様も多くが会社に属しておられるかと思います。組織は、会社のほかに、地域や業界団体、スポーツや趣味の集まりなど様々な組織があります。
組織とは、何かのミッションを実現するために共通の目的をもっています。
今回は、組織の目標の立て方についてご紹介したいと思います。
目次
1-7.日本の雇用・人材システムの見直しの必要性
2.製造業・運輸業の3つの目標の設定
製造業・運輸業の組織力づくりとは?
「組織力」とは、組織として団結することで発揮される大きな力のことです。
例えば、組織では、以下のような課題を抱えています。
□ 優秀な人財がいない
□ チームで人財が育たない
□ 人財がチームに定着しない
□ メンバーのモチベーションが低い
□ 生産性(業務効率)が低い
□ チームに対する不平不満を言う人財が多い
今回は、製造業・運輸業の組織力づくりを中心にお伝えしますが、チームや事業部、組織全体として抱える悩みもそれぞれ異なります。
日本の組織力の脆弱性

図.従業員エンゲージメントの国際比較
(出典)経済産業省HP 未来人材ビジョン
(https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220531001/20220531001-1.pdf)
ちなみに、日本の組織力を世界と比べたデータを見てみると、日本企業の従業員エンゲージメントは、世界全体でみて最低水準にあります。
「エンゲージメント」とは、人事領域においては、 「個人と組織の成長の方向性が連動していて、互いに貢献し合える関係」といった意味で用いられています。
結果、日本では、現職で働き続けたいと考える人は少なく、また転職や起業したいといった自己実現欲求の高い人も少ないという状況です。
世界的に見ても、仕事に対するモチベーションの低さが顕著となっています。
日本の生産年齢人口の減少

図.日本の生産年齢人口の推移
(出典)経済産業省HP 未来人材ビジョン
(https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220531001/20220531001-1.pdf)
また、日本の人財不足の問題も、さらに深刻化を増しています。
生産年齢人口は、2050年には現在の2/3に減少することが予測されています。
このような現状に対して、外国人人材の採用も進んでいますが、外国人採用についても問題視がなされています。
外国人労働者は、2030年には日本の至る所で不足すると予測されています。
製造業・運輸業の外国人人材の枯渇

図.外国人労働者の不足見通し
(出典)経済産業省HP 未来人材ビジョン(https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220531001/20220531001-1.pdf)
製造業・運輸業では、深刻な人材不足となっており、外国人人材の受け入れニーズも年々高まっています。
現在、日本人の労働人口不足が問題となっていますが、現在~将来にかけて、外国人人材も不足していくという状況です。
限られた人員で、いかに生産性を高く仕事をこなしていくかが求められますが、その結果、会社で求められる人物像も変化しています。
製造業・運輸業に求められる人物像の変化

図.企業に求められる人物像の変化
(出典)経済産業省HP 未来人材ビジョン
(https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220531001/20220531001-1.pdf)
2015年は、①注意深さ・ミスがないこと、②責任感・まじめさ、③信頼感・誠実さなどが求められていましたが、将来の2050年には、①問題発見力、②的確な予測、③革新性が一層求められるようになります。
背景には、日本の労働人口の49%が将来自動化されるとの予測があります。
勤勉にミスない仕事は機械が行うため、問題を発見する能力が人間には求められるようになるというところです。
ESGからみた工場・倉庫の経営
図.ESGの考え方イメージ
(出典)経済産業省HP 未来人材ビジョン
(https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220531001/20220531001-1.pdf)
最近はSDGsやESGの考え方が重要視されていますが、工場・倉庫経営の見方もESGの観点が必要になっています。
財務・非財務などの戦略を立てバランスよく成長することが重要で、企業価値を高めることにつながります。
このようなESGの観点が重要視される中で日本ではどうかというと、例えば女性活躍社会の推進に遅れを取っています。
女性活躍社会への課題

図.役員・管理職に占める女性比率
(出典)経済産業省HP 未来人材ビジョン
(https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220531001/20220531001-1.pdf)
日本では、海外に比べて役員・管理職に占める女性比率が低いことが指摘されています。
女性活躍社会の実現は、ESGの観点では、ゼロカーボンやジェンダー平等とあわせて非常に重要な取組みです。
日本、あるいは企業の取組みの遅れは、ひいては企業価値の低下につながってしまう可能性があります。
また、日本では、会社に専任の人事・担当がいない企業が多いことも問題となっています。
全体の4割が専任の人事・担当を置いていません。このように組織体制にも課題があります。
日本の雇用・人材システムの見直しの必要性
図.ESGの考え方に対する実情イメージ
(出典)経済産業省HP 未来人材ビジョン
(https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220531001/20220531001-1.pdf)
実際の会社経営はどうなっているかというと、財務戦略の取組みに注力し経営に偏りがあり、バランスが保たれていない状態となっています。
上記を踏まえ、本記事でお伝えしたい点ですが、終身雇用制や年功序列、日本型雇用・人材システムの見直しが必須と考えられます。
もともと、日本の雇用・人材システムは公務員の人事制度をモデルとしています。
日本では、この制度によって経済成長を遂げ、社員も恩恵を受けてきた歴史があります。しかし、現在では、時代の動きと制度自体が合わなくなってきています。
このため、経済産業省の「未来推進ビジョン」では、委員より、「民間企業だけでなく、公務員の人事制度自体も改革すべきでは?」との指摘もあがっています。
ここまで、日本の組織に対する課題についてご紹介しました。
製造業・運輸業の3つの目標の設定

個人をはじめ、チーム、部署、会社でそれぞれ目標があります。目標は大きく3つに分けられます。
①意義目標は、最終的に実現したい抽象的な状態や影響を示します。
②成果目標は、チームで手に入れるべき具体的な成果を示しています。
③行動目標は、チームメンバーが具体的に取り組むべき行動の方向性を示したものです。
この3つの目標には、それぞれメリット・デメリットがありますので、どれが良い悪いということではありません。
意義目標は、メンバーがアイデアを生み出しやすく、本質的な課題を打ち破る革新的な解決策(ブレイクスルー)が生まれやすくなります。
一方で、どのような行動を起こせばよいか分かりにくいというデメリットもあるということです。
ここでお伝えしたいポイントは、意義目標がないと作業と数字の奴隷になるということです。
ビジネスにおける目標では、成果目標や行動目標が評価対象として重要視されます。
四半期あるいは1年に1回は、目標設定に対して人事評価がなされているかと思います。
しかし、多くのチームでは意義目標の重要性をあまり理解していません。
行動目標や成果目標しか見えておらず、時として作業や数字の奴隷になってしまうということです。
組織活性化に向けた意義目標の設定

「では、どうするか?」ですが、意義目標の設定によって、成果や行動に意思を持つことができます。
例えば、新技術のお披露目によって、研修に参加した製造会社、あるいは学生が新技術を全国で展開することにつながるかもしれません。
自分達では作れなくても、技術継承した方は後世に残る製品を作ってくれるという、新しいアイデアが生まれるということです。
つまり、意義目標は、成果・行動目標の先にあるものと言えます。
こうした本質的な課題を打ち破る革新的な解決策(ブレイクスルー)を生み出すきっかけになります。
目標設定のチェック項目
目標設定の法則ですが、チームのパフォーマンスは目標に大きく左右します。
<チェック項目>
□ チームの活動の意義が明確になっていますか?
□ チームの創出すべき成果が明確になっていますか?
□ チームの推奨している行動が明確になっていますか?
□ チームの活動の意義と、成果、行動が適切に接続されていますか?
□ チームの活動の意義と、成果、行動が日常意識できていますか?
与えられた目標だけをやみくもに追いかけているのであれば、自分たちの目標を再度見つめ直してみましょう。
数字や作業を積み上げた先に何を実現したいのか、チームの活動の意義が必要です。
意義から自らやるべきことやらなくても良いことを判断し、自ら行動するチームへと生まれ変わっていくことが大切です。
モチベーションを高める「感情報酬」

チームのモチベーションについて、エンゲージメントの4Pを採用する側で見ていきます。
例えば、ある学生が大学卒業後に、A社という製造会社に就職しようとします。
学生は、電気電子学科で学んだ知識を生かしたいので、商社などではなく製造会社での活動、つまり①Profession(活動・成長)に惹かれているということになります。
また、日本一を目指すのではなく地元で仕事を続けたい思いがあり、地場の製造会社という②方針(Philosophy)に魅力を感じます。
同じ大学の先輩もいるので、③人材(People)もよく、給与水準も高いため待遇にも魅力を感じています。
上記では、4Pのうち①~③が学生のモチベーションを高めているということです。
この4Pは、「金銭・地位報酬」と「感情報酬」の2つに分けられます。
今、この目に見えない「感情報酬」の影響が高まり続けています。企業では、「金銭・地位だけでなく、『感情報酬』が提供できているか?」について見直ししていきましょう。
企業では、社員のエンゲージメントを高めることが重要視されています。
企業への共感、帰属意識、エンゲージメントが低下すると、社員はすぐに去ってしまいます。
資金はあっても人手が足りず廃業する会社もあります。これからは、人材に選ばれる会社づくりに力を注ぐ必要があります。
お伝えしたい点は、モチベーション高く活動を行うには、企業として4Pのどこに魅力を感じるのか明確にすることが必要です。
チームとして4Pのいずれか、特に「感情報酬」(理念への共感、仕事のやりがい、仲間とのつながり)を高めていく戦略が有効です。
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設立 | 1963年5月31日 |
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