
工場・倉庫業の2023年時流予測と対策
今回は、工場・倉庫業の2023年の時流予測と対策についてご紹介します。
時流とは、その時代の社会一般の風潮や、思想の傾向を指します。
「時流となるもの」は日々変化するものであるため、時流から外れたとたんに、世間からの関心がなくなり個人・会社でも淘汰されてしまうということは多々あります。特に、ビジネスは時流に左右されやすくなります。
このため、「お客様のニーズに限りなく対応する」という時流適応の考えが大切になります。時流にうまく乗ることで、ビジネスの大きなチャンスをつかむことも期待できます。
工場・倉庫業においても、時流の考え方は大切です。技術は日々進化しますので、数年後には陳腐化してしまうということはよくあります。
このため、客観的なマーケットの変化を読み取り、正しい需要予測を行い、時流をつかむ(=つまり、お客様のニーズに対応する)努力をすることが必要です。
それでは、工場・倉庫業の2023年の時流予測と対策に向けて、2022年の振り返りからご紹介します。
目次
2022年の振り返り~資材価格高騰が顕著となった1年~
図.工場・倉庫業の物価高高騰イメージ
2022年は、物価高を引き起こす諸問題が多発した1年でした。
ロシアのウクライナ侵攻や、新型コロナウィルスの流行、日米の金融政策の違いなどにより、生活必需品を中心に物価高の高騰が問題となりました。
工場・倉庫業では、原材料価格の高騰をはじめ、原材料の輸入価格の高騰がありました。
業界各社で値上げの発表があり、川上と川下企業間で価格交渉も相次ぎました。
また、原材料の調達難から納期の遅延も発生し、仕様の変更や工期の見直しも余儀なくされました。
引き続き、人材の不足や人件費の高騰は続き、メーカーが値上げに踏み切る動きも多発しています。
物価高高騰がもたらす工場・倉庫業への影響

図.物価高高騰がもたらす工場・倉庫業への影響
物価高の高騰による工場・倉庫業への影響についても整理します。
物価高高騰というと、マイナスなイメージばかりが目にいきますが、価格転嫁が可能なビジネスについては金額もその分増えますので、企業としての売上は増えることになります。
一方、問題となっているのは、価格転嫁ができない下請け企業などです。
重層下請構造の川下にある下請けの工場・倉庫業の会社は、収益圧迫により経営がまわらなくなるという問題が発生しています。
経営が回らなくなった結果、「物価高倒産」が増加しています。
工場・倉庫業の「物価高倒産」
図.業種別の物価高倒産割合
物価高倒産は、業種別では、①建設業、②運輸・通信業、③製造業となっています。また、業種詳細別では、①運輸業、②総合工事、③飲食料品製造が上位3位です。
原材料価格の高止まりの影響は、今後しばらくは続いていく見込みです。
さらに、コロナ関連融資の返済も始まるため、物価高倒産の動きが懸念されるところになります。
資材価格高騰に関する最新データ
図.各資材の価格高騰状況(2023年1月データ)
(出典)一般社団法人 日本建設業連合会HP(https://www.nikkenren.com/sougou/notice/index.html)
参考までに、各資材の価格高騰状況について、2023年1月データをご紹介します。
国内初の新型コロナウィルスの感染報告は、2020年1月20日です。
その後、原材料価格の高騰にともない、資材物価指数は、軒並み上昇しています。
ピークダウンした原材料はありますが、資材価格の高止まりはしばらく続くものと見込まれます。
ドル円相場に関する最新データ
図.1ドルあたりの円相場の推移
(参考)日本銀行 時系列統計データ検索サイトより作成
(https://www.stat-search.boj.or.jp/ssi/mtshtml/fm08_m_1.html)
1980年1月から2023年1月までのドル円相場の推移をグラフで整理しています。
横軸が時系列、縦軸が1ドルあたりの円相場になります。下方向(赤矢印)に動くと円高、上方向(青矢印)に動くと円安の動きになります。
2011年まで円高で推移していた相場ですが、東日本大震災を契機に円安方向となります。その後、アメリカの動きに左右して上下しています。
そして、コロナ不況を景気に、一時150円台へ迫りました。
日銀の円買いの為替介入等により、現在は130円台で推移しています。
大枠では、130円台はまだまだ円安の市場です。
工場・倉庫業ではどうかというと、円安になると、輸入依存の原材料はさらに価格高騰が進んでいます。
ここまで、円安の状況についてお伝えしました。
半導体大手メーカーの日本進出と半導体市場の動向
このような円相場の動きの中、海外メーカーの日本進出の動きも注目されています。
半導体世界最大手のTSMCでは、熊本県菊陽町に新工場を建設しています。2022年の4月に着工しており、2024年12月の生産開始を見込んでいます。
新工場の建設予定地は約23万㎡、投資額約1兆円規模です。TSMCの進出にあたっては、日本政府が最大約4,760億円の補助を行うことも決まっています。
計画によると、工場の従業員約1,700人のうち約1,200人を地元で採用するため、地域の経済効果も期待されています。新工場に隣接する道路の新設や拡幅、改修も決定しています。
半導体製造装置の投資が続いてきた背景は、世界的な半導体不足による設備投資があります。
しかし、2022年秋には、半導体業界さえも下降トレンドに入りました。
SUMCOの減産発表を皮切りに、キオクシア(旧東芝四日市)やマイクロンメモリ(旧エルピーダメモリ)もデータセンタの需要低迷を受け生産調整に入ったという動きがありましたが、時を同じくして、半導体製造装置の大手メーカーである東京エレクトロンも生産調整が入り発注量が減少している、という状況です。
さらに2023年度の世界半導体需要予測は下方修正され、景気がさらに落ち込む可能性が高まってきました。
また工作機械受注高も、2022年10月は2年ぶりに減少という状況になり、明らかな下降トレンドです。
自動車業界の動向
2022年はサプライチェーンの乱れによる生産調整で売上が伸びない企業が多くありましたが、特に大きな影響を受けたのは自動車業界です。
昨年から今年にかけて、トヨタを含むほとんどの自動車メーカーは計画生産台数を毎月下方修正する、という状況が続いてきました。
需要過多の状況は今後も続くと予想されています。
さらに、ゼロコロナ政策を継続し、各地で暴動が起きている中国の影響がすでに出始めています。
2023年以降も、注文はあるが出荷できない・先延ばしになる、という情勢は、部品加工業などの業績にも大きく影響してくると考えられます。
工場・倉庫業の2023年時流予測と対策
それでは、ここまでのまとめです。
<工場・倉庫業の2023年時流予測のまとめ>
・時流は日々変化するもの。お客様ニーズへ常に適応する必要がある
・2022年は資材価格高騰が顕著となった1年。物価高倒産は3年連続増加
・ピークダウンする資材はあるが、2023年以降も資材価格の上昇は続く
・円安によって海外企業・投資家の日本進出が顕著。大規模な街づくり事業も
・半導体製造業は生産調整へ。自動車製造業は供給過多。部品加工業への影響も懸念
前述したコロナショックやウクライナ危機などの社会情勢に揺るがないために、単一事業だけでなく、複数の主力事業を抱え、リスク分散を図る必要があります。
これまでのビジネスや商圏、地域での雇用を大切にしながら、次世代に伸びて儲かるビジネスに今から投資を検討することも大切です。
ここからは、工場・倉庫を営む事業者向けに、2023年使える補助制度をご紹介します。
製造・物流業では、働き方改革の実現に向けた生産性の向上が求められますが、旧式の設備機器や破損・老朽化の著しい建物の更新が課題となっています。
このため、補助金・融資制度を活用した建物・設備機器のリニューアルなどは、省人化・生産性の向上を実現し最適な生産体制の構築する有効な手法となります。
工場・倉庫を営む事業者様が使える補助金について、2023年の最新の募集要項やスケジュールを以下に整理します。
表.工場・倉庫関連の補助金一覧
表.工場・倉庫関連の補助金スケジュール
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