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工場・倉庫のBCP対策のすすめ  

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工場・倉庫のBCP対策のすすめ   

 工場・倉庫のBCP対策のすすめ

 今回は、工場・倉庫のBCP対策についてご紹介します。

 本記事をご覧の皆様は、自社のBCP(事業継続計画)対策は大丈夫でしょうか?

 「BCP」という言葉自体に、あまりイメージがわかない方もいるかと思いますが、「BCP」とは、「Business Continuity Planning(=事業継続計画)」のことです。

 例えば、新型コロナウィルス感染が流行した際の企業対応や、自然災害でインフラがストップした際などの復旧対応などがBCP対策に当たります。

 世界で起こる戦争や感染症の拡大、各国の経済制裁をはじめ、自然災害、サイバーテロなど、予期せぬ事態によって、経済への打撃だけでなく、私たちは生命の危険や生活や仕事の不安を日々抱えています。

 今回お伝えする工場・倉庫のBCP対策を参考に、皆様も、従業員や家族、関係者の生命の安全確保はもちろん、二次被害の防止、事業の継続、地域との共生・貢献などに取り組んでいただけますと幸いです。

 目次

1 BCP(事業継続計画)とは?

2 BCM(事業継続マネジメント)の対象となるリスク

企業のBCM策定率の推移

業種別の企業のBCM策定率

政府の耐震化目標について

建物用途ごとの既存不適格数

工場・倉庫のBCP対策のモデル企業

7-1製造業A社の概要

7-2BCP対策取組みのきっかけ

7-3大地震におけるBCP対策の実践

7-4A社のBCP対策

工場・倉庫の自社BCP対策のすすめ

8-1被害想定の整理

8-2目標復旧時間の設定

8-3 BCP対策の実施体制

8-4 BCP対策のガイドライン

工場・倉庫の建物診断のすすめ

10 BCP対策に取り組む企業の方へ


BCP(事業継続計画)とは?

 「BCP」は、災害などの緊急事態における企業や団体の事業継続計画(Business Continuity Planning)です。

 地震や戦争・紛争、感染症の流行、システムの障害など、近年、相次ぐ大規模災害の発生にあたって、従業員の安否や、オフィスの損壊、重要資産の喪失、顧客の信用失墜など、様々なリスクが危惧されます。

 このため、企業は、大規模災害が発生しても事業を存続させる必要があり、災害リスクに備えるためのBCP(事業継続計画)が求められています。

 

 BCM(事業継続マネジメント)とは?

 BCP(事業継続計画)の実行に関連して「BCM」という言葉もご紹介します。

 「BCM」とは、Business Continuity Management(事業継続マネジメント)の略です。

 BCPの計画を、PDCAサイクルを回すこと等によって的確に運用する取組みです。

①BCMのイメージ図.png

                         図.BCM(事業継続マネジメント)のイメージ図
 

(出典)内閣府防災担当 「事業継続ガイドライン」より作成

 

上図では、現状の予想復旧曲線(青線)と、BCP実践後の復旧曲線(赤線)を比較しています。

 BCP実践後の復旧曲線では、災害発生時の事業の操業度を許される最低レベル以上に保っています。

 また、現状の予想復旧曲線に比べて、災害発生時から100%の事業の操業度に戻るまでの時間も早いことが分かります。

 つまり、BCP策定によって、①許される中断期間内に操業度を復旧させる、②許される最低レベル以上で事業を継続させることを目指しています。

 ここまで、BCP(事業継続計画)とBCM(事業継続マネジメント)の概要についてご紹介しました。

 
 BCM(事業継続マネジメント)の対象となるリスク


 BCP(事業継続計画)の対象となるリスクの種類についてご紹介します。


                                                 表.BCPの対象となるリスク一覧



●:被害なし、被害小、▲:被害中、×:被害大

 

上表では、各リスクによる被害の特徴を整理しています。

 感染症の場合、その他のリスクに比べてヒトの生命を脅かし、被害は大きいことが特徴です。

 例えば、新型コロナウィルス感染では、世界的な大流行(パンデミック)が発生しましたが、感染者数6億人以上、死者は650万人以上となっています。(2022年10月時点)

 被害を受ける範囲も広く、期間も長期にわたることが特徴となります。

 ただし、モノや情報システム、ライフラインへの被害は小さくなっています。自然災害との大きな違いと言えます。

 お伝えしたい点は、リスクの被害の特徴を把握して、BCPに取り組むことが重要ということです。

 
企業のBCM策定率の推移

 
企業のBCPに対する取組み状況についてご紹介します。


③中堅企業のBCP策定率の推移.png

                                                    図.中堅企業のBCP策定率の推移

 (出典)内閣府防災担当 「令和3年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/pdf/chosa_210516.pdf

 

中堅企業のBCP策定率を見てみると、令和3年度で40.2%が策定済み、11.7%が策定中となっています。大企業では、70.8%が策定済み、14.3%が策定中です。

企業規模を問わず、統計開始の平成19年度以降、年々、BCP策定率は高まっています。

ただし、中小企業については統計の対象となっていません。日本企業の99.7%は中小企業です。

中小企業の策定状況を高めていくことも、今後の課題であると推測されます。

 

 業種別の企業のBCM策定率

 次に、業種別のBCPに対する取組み状況についても見ていきます。


                                                                        表.業種別のBCP策定率の推移

④業種別のBCP策定率の推移.png

出典)内閣府防災担当 「令和3年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/pdf/chosa_210516.pdf

 

業種別のBCP策定率では、金融・保険業が81.6%と高く、次いで、情報通信業55.6%、建設業52.8%と続いています。

統計開始の平成19年度と令和3年度を比較すると、業種を問わず全ての業種でBCP策定率は高まっています。

今後は、策定率の低い業種に向けてBCP策定率を高めていくことが課題と考えられます。

 

ここまで、企業のBCP策定率についてご紹介しました。

 

 政府の耐震化目標について

 国土交通省では、住宅・建物の耐震化目標を掲げています。

  

 図. 住宅・建物の耐震化の現状と目標

 

(出典)国土交通省HP 住宅・建築物の耐震化率の 推計方法及び目標について(令和2年5月)

 

上図では、住宅と非住宅の耐震化の目標で、住宅・建物の耐震化率95%(令和2年目標)、令和7年に概ね解消見込としています。

 耐震不足は、住宅で約250万戸、非住宅で約2万棟となっており、今後、これらの建物の耐震化を図っていくものと見込まれます。

 ただし、上図の住宅の総数は、住宅調査から得られる居住世帯のある住宅戸数です。このため、空き家などは含まれていません。

 また、建物は、学校、病院、百貨店等の多数の者が利用する一定規模以上の建築物です。

 工場、倉庫、事務所、店舗、医療・介護施設などでも、統計の対象となっておらず耐震性が不足している建物が数多くあります。

 
建物用途ごとの既存不適格数

 
参考までに、建物用途ごとの既存不適格数(2003年の統計データ)をご紹介します。

 
                                               表.建物用途ごとの既存不適格数(2003年統計データ)

 ⑥建物用途ごとの既存不適格数.png

既存不適格数は、学校が50%と最も高く、次いでホテル・旅館42%、その他38%、店舗35%、事務所31%と続いています。

 

既存不適格となる建物は、耐震診断を実施の上、耐震改修や建替えなどの対策が必要となります。

令和7年に向けて、耐震診断・耐震改修は、さらに進んでいくものと推測されます。


工場・倉庫のBCP対策のモデル企業

 1.製造業A社の概要

 工場・倉庫のBCP対策のモデル企業A社についてご紹介します。

A社は、創業約50年、従業員約100名の地場の製造業です。

自然災害など、BCP対策に積極的に取組み、大地震が発生した際はBCPマニュアルを活用した迅速対応を実現しました。

 

2.BCP対策取組みのきっかけ

同社がBCP対策に取り組んだきっかけは、2011年 東日本大震災の大津波でした。

東日本大震災で直面した甚大な被害状況や同業種の製造業の課題を教訓に、自社の災害マニュアルづくりに取り掛かりました。

BCP作成では、地域エリアで過去に発生した大型台風の被害を参考に、災害対策マニュアルを作成しました。

毎年発生する台風などの災害のたびに、マニュアルの見直しを実施しています。

 

3.大地震におけるBCP対策の実践

 
実際にBCP対策のノウハウが生かされたのが、九州で発生した大地震でした。

震度7を2回記録する大地震が発生し、県内数十万戸の住宅が全半壊、関連死を含め数百名が死亡しました。

通常、大地震が発生すると、モノやライフライン、情報システムは全て機能を失います。

このような状況下においても、A社では、社員の生命を確保し、顧客の復旧要請に応えることができました。

 

4.A社のBCP対策

A社のBCP対応についてご紹介します。

 

<大地震発生時の主な対応>

●BCPマニュアルの即時切替え

・風水害対応マニュアルは台風想定だったため、地震用に切り替えるよう指示

・地震用の電話対応マニュアルとチェックシートを準備

 

●社員の安全・健康状態の確保

・社員の人命にかかわる復旧作業は、余震後の対応を指示

・定期的なストレスチェックにより、心身の健康を確認

 

●顧客対応の優先度決め

以下の4段階に分けて「被害受付表」を作成

・Aランク(ライフライン、防災上、問題が出ているもの)

・Bランク(その他、急ぎのもの)

・Cランク(生活に支障がない程度の被害)

・その他(点検希望のみ)

 

他県の企業との災害協定により、県外からの応援者を確保しました。

県外の応援者用のホテルやアパートを確保し、常備していた湯沸かしヒーター、発電機、使い捨てつなぎなど物資の活用も行いました。

結果、社員や家族の安全を確保したうえで、顧客からの電話や点検依頼に対応することができました。

顧客の復旧復興を最大限優先したことで、企業の信頼度が向上することにつながりました。

ということで、BCP対策のモデル企業についてご紹介しました。

 

工場・倉庫の自社BCP対策のすすめ

ここからは、自社が工場・倉庫のBCP対策を進める際のポイントをご紹介します。

 

1.被害想定の整理

 

                                                                   表.地震発生時の被害想定表

 ⑦自身発生時の被害想定表.png


こちらの表は、地震が発生した際を想定してライフライン、道路、鉄道、従業員の出社などについて被害想定を整理しています。

被害想定では、発災当日、3日後、1週間後、2週間後、3週間後、1か月後、1か月後以降について、復旧状況を把握していきます。

この際に、前提条件の設定が非常に重要となります。先ほどの大地震の事例でも台風から地震対策に切り替わった事例がありましたが、前提としたとおりにリスクが発生するとは限りません。

重要なのは、これがないと工事や業務の再開ができなくなるというボトルネックを見つけることです。

従業員の確保はもちろんですが、設備・機器、原材料など必要不可決なものを特定しましょう。

 

2.目標復旧時間の設定

次に、各業務の目標復旧時間についてご紹介します。

 

                                                                    表.目標復旧時間(RTO)の設定

⑧目標復旧時間(ROT)の設定.png

RTO(=Recovery Time Objective)とは、インシデントが発生して、通常業務に戻すまでの「ダウンを許容できる時間」のことです。

各部署にて、ボトルネックとなる重要業務を選定し、いつまでに復旧するのか期限を設けます。

この整理によって、緊急時に、社員がまず何をいつまでにやるべきなのか、迅速な対応が可能になります。

 

3.BCP対策の実施体制

3つ目に、BCP対策の実施体制をご紹介します。

⑨BCP対策の実施体制.png

                                                                    図.BCP対策の実施体制

 
例えば、上図のように、管理部などから責任者・部門を決めて、BCMの取組みを進めます。

リスク管理委員会など、組織を編成することも多いです。まずは、経営幹部が組織に関与して、内容を理解しておくことがポイントです。

緊急時は、不測の事態でも迅速な判断を迫られることが多いため、経営幹部のスピード感をもった危機対応が求められます。

BCP作成にあたっては外部の専門家にお願いする方法も有効です。

BCP計画は都度見直しをかけ、日頃より訓練を行っておくことも必要です。

 

4.BCP対策のガイドライン

参考となる行政のガイドラインもご紹介します。

 

                                                   表.BCP対策関連の行政ガイドライン一覧
 ⑩BCP対策関連の行政ガイドライン一覧.png





















BCPの策定方法については、特に重要な項目だけご紹介しました。

作成にあたってはマニュアルに沿って検討を進めていただきたいと思います。

 

 工場・倉庫の建物診断のすすめ

企業のBCP対策の重要性についてお伝えしましたが、耐震性の低い建物は、地震による倒壊が多くなりますので、ほっておくと危険です。

また、労働契約法の安全配慮義務を怠ると、損害賠償請求を求められる可能性があります。

建物の対策優先度を把握し、企業の状況に応じた対策を検討していく必要があります。

工場・倉庫の建物診断では、以下のような診断があります。

 

<建物診断の種類>

●躯体診断       

・コンクリートのひび割れ、床のたわみ、コンクリートの中性化

●防水診断

・アスファルト、シート、塗膜、シーリングなどの漏水

●外壁・外装診断

・外壁、外装タイル、外装アルミ、外部鉄部、外装ALCパネルの破損・劣化

●設備診断

・照明、設備の破損・劣化

●建築環境診断

・騒音、振動、結露

●耐震診断

・構造体の破損・劣化、天井、外壁部材、照明・設備の破損・劣化

 

建物診断や効果的な補強対策を講じることで、甚大な破損・倒壊被害を食い止め、結果として企業のリスクを最小限に抑えることにつながります。

 

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設立 1963年5月31日
資本金 30億円
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株主 伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社 66.7%、住友商事グループ 33.3%
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三井住友銀行 日本橋支店
三井住友信託銀行 本店営業部
建設業許可 国土交通大臣許可(特-3)第10910号
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国土交通大臣許可(般-3)第10910号
大工工事業、とび・土工工事業、石工事業、屋根工事業、タイル・れんが、ブロック工事業、
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